「ななつのこ」(カラスの歌)で遊ぶ

皆さんご存知の童謡に隠された秘密を探る遊びをやってみたいと思います。

「からす、何故鳴くの
からすは山に 可愛い七つの子があるからよ」


ここでのお遊びは、書籍「要求仕様の探検学」にて記述されている「”メリーは株屋をペテンにかけた”体験学習法」に忠実に従って進めます。この体験学習法は、要求仕様(製品開発などにおける顧客からの要求)の文面の曖昧さを体験するためのケーススタディです。もしかしたら、要求仕様を書いた顧客は、同じ単語でも、読む側とは違う意味で使っているかもしれません。違う意味で単語を使っていたとしたら、どのくらい文脈が変わるのか、を体験します。
コーチングでは前提を明確にした上で会話をすることが重要とされています。会話の中で、同じ言葉なのに互いに異なる意味で使っていたら、話が噛み合わなくなるためです。この体験学習が、文中の曖昧さや、前提らしいことを発見するための良いトレーニングの一つになるかもしれません。
以下の手順で進めます。


1.単語を抽出する
2.それぞれの単語の定義を調べる
3.定義を組み合わせて、文としての意味を考える


まず、童謡「ななつのこ」の歌詞から単語を抽出。「からす」、「鳴く」、「山」、「可愛い」、「七つ」、「子」について、goo辞書で調べました。

「からす」
(1)スズメ目カラス科の鳥のうち、大形でくちばしが大きく、全体に黒色のものをいう。霊鳥とされたが、現在は凶兆を告げる鳥と考えられることが多い。
(2)〔カラスの性質に似通うので〕
  (ア)口やかましい人。
  (イ)物忘れのひどい人。
  (ウ)意地汚い人。
  (エ)うろついている人。「旅―」


「鳴く」
鳥・獣・虫などが声を出す。


「山」
(5)進行するに従って次第に高まり、やがて徐々におさまる物事の全体を(1)に見立てていう。
  (ア)最も重要なところ。絶頂。クライマックス。「―のない小説」
  (イ)成否を決定するような緊迫した場面。「病人は今夜が―だ」
(6)〔(2)の鉱脈を探し当てるのは、きわめて確率の低い賭(か)けであったことから〕万一の僥倖(ぎようこう)に賭けること。
(7)犯罪事件。警察や新聞記者などが用いる。「大きな―だ」


「可愛い」
(1)深い愛情をもって大切に扱ってやりたい気持ちである。
(3)幼さが感じられてほほえましい。小さく愛らしい。
(5)かわいそうだ。いたわしい。ふびんだ。


「七つ」
(1)しち。七個。
(2)七歳。


「子」
(1)人間や動物から、生まれ出るもの。特に、生まれ出て間もないもの。
(2)まだ一人前になっていない人間。年少の男女。
(8)鳥の卵。


さて、手順に従って、単語をすりかえてみましょう。組み合わせが多すぎるので、絞って。(コンピュータの力を借りれば、この手の置き換え作業は簡単にできますが、ここではやりません。めんどくさがりIT技術者:ひろし。)
まず、「からす」はどの意味でしょう?最初のフレーズで「鳴く」と言っているので、どうやら良く知られている黒い鳥のことのようです。では、あとの文は、、、


『からすは山に「小さく愛らしい」「七歳」の「子供」があるからよ』
  (山に巣があって、そこには小さくて愛おしい7歳の子供がいる。)


『からすは山に「小さく愛らしい」「七個」の「鳥の卵」があるからよ』
  (山に巣があって、そこには小さくて愛おしい卵が7個ある。)


『からすは「絶頂」に「小さく愛らしい」「七個」の「鳥の卵」があるからよ』
  (7個の小さくて愛おしい卵から、今まさに、雛が出てきそうだ。)


『からすは「犯罪事件」に「ふびんな」「七個」の「鳥の卵」があるからよ』
  (7個のふびんな卵が、犯罪事件に巻き込まれている。)


『からすは「犯罪事件」に「ふびんな」「七歳」の「子供」があるからよ』
  (7歳のふびんな子供が、犯罪事件に巻き込まれている。)


『からすは「成否を決定するような緊迫した場面」に「ふびんな」「七歳」の「子供」があるからよ』
  (7歳のふびんな子供が、生きるか死ぬかの緊迫した状況に置かれている。)


文脈が次々と化けていきますねぇ。
もし、歌の中の「鳴く」が「泣く」になっているとどうでしょう。意味はさらに変化しますし、「からす」も黒い鳥ではないかもしれません。

「泣く」
(2)ひどい目にあって、嘆き悲しむ。
(3)無理な要求を受け入れる。


『からす、何故「嘆き悲しむ」の
からすは「成否を決定するような緊迫した場面」に「ふびんな」「七歳」の「子供」があるからよ』
  (7歳のふびんな子供が、生きるか死ぬかの緊迫した状況に置かれているので、嘆き悲しんでいる。)


『「意地汚い人」、何故「無理な要求を受け入れる」の
「意地汚い人」は「成否を決定するような緊迫した場面」に「ふびんな」「七歳」の「子供」があるからよ』
  (7歳のふびんな子供が、生きるか死ぬかの緊迫した状況に置かれているため、普段は意地汚くて有名な人が無理な要求を受け入れて、大金を払った。)


とっても悲しい歌になってしまいました。このような解釈は、努々、お子様にはお教えなきよう。。。

※これは、お遊びです。「ななつのこ」の歌詞の解釈に対して、異説を唱える意図はありません。